a captive of peince 151




<共闘 chap.2>




「私達が、彼らを信用した理由はいくつかるが、その第一番目はスザクがいたからだ。」
「スザク?」
 ゼロが口にし名前に、ほとんどの団員の顔が歪む。
「はっ!」
 朝比奈は、吐き捨てる声を漏らし、嘲笑した。
「あの裏切り者!あいつの何が信用できるって!?
大体…あんたは以前からあいつに執着してたが、何か特別な理由でもあるのか。
自分のお気に入りだから、敵の皇子でも信用するって言うなら、俺は、あんたをこの組織のリーダーとは認めないし、排斥すべきだと提案するね。」
 厳しい口調で詰る朝比奈を、諫める者はいなかった。むしろ同調し頷く者の方が多い。
 仮面の内側で、ルルーシュは口の端を吊り上げた。
「手厳しいな。
今まで公表してこなかったが……これを見て欲しい。」
 そう言って、ゼロは彼らの背にある巨大モニターに1つの画像を投影した。
 それは、何かのリストを表にしたものと円グラフであった。
「我が黒の騎士団に資金を提供してくれている出資者のリストだ。」
 ゼロが手元の端末を操作して、表の一部を拡大表示させると、議場に集まった誰もが驚愕に顔を引きつらせ、リストに書かれた名前に刮目した。
 全員の視線が集中するその先に書かれていたのは、件の皇子の名であった。
 だが……
「SUZAKU KURURUGI……」
 扇が、茫然として読み上げる。
「枢木スザク?」
 玉城が、目を見開いた。
「どういう事だっ⁉」
 室内が騒然となった。
「枢木スザクは私の従兄で、8年前ブリタニアに連れ去られた人物です。
皆さんご存知の通り、今ではブリタニアの皇子を名乗っていますが……」
 既知の内容を淡々とした様子で語りだす神楽耶を、一同は黙視する。
「本人の意思ではない事は、皆さん、薄々か分かっておいででしょう。」
 当時10歳だった少年が自らの意思で敵国に渡り、その国の皇帝の養子を望んだなど、誰が本気で思うだろう。神楽耶の言葉は、スザクの立場が他人の意思によるものである事を団員たちに思い出させるのに十分効果があった。
「だが、あいつは結局俺たちの味方にはならなかったじゃないか。」
 チョウフ刑務所で…式根島で…スザクはその気になれば黒の騎士団に加入する機会がった。
 日本に戻ることができたのにもかかわらず、そうしなかったではないかと声を荒げる玉城に、他の者も頷く。
「それは……」
 反論しよう口を開きかけた神楽耶よりも早く、ゼロが声を上げる。
「戻りたくとも戻れなかったのだ。
他ならぬ、枢木本家とブリタニアの密約によって。」
「枢木と、ブリタニアの密約?」
 ゼロの言葉に、誰もが目を瞬き首を傾げる中、唯一藤堂鏡志郎だけがその眼を細め仮面の男を見据えた。
「彼は…枢木スザクは、枢木家によってブリタニアに売られたのだ。
キョウト六家の存続を条件に。」
 室内がざわめく。ゼロが齎した情報に誰もが驚き顔を見合わせた。
「藤堂。貴方なら、事情を良く知っているのではないのですか。」 
 スザクと同じ翡翠の瞳の少女が、静かに問いかけた。
 藤堂はゆっくりと頷いた。
「──ゼロの言う通りだ。ブリタニアは、日本陥落後、枢木本家にスザク君の引き渡しを要求してきた。キョウトの解体を見逃すという条件付きで。
枢木本家は後継ぎよりも、家の存続を選んだ。」
 藤堂の絞り出すような声に、室内のざわめきは沈黙へと変わった。
「私は、この事を藤堂から聞き、式根島でスザクに日本に戻るよう促した…が、結果はあの通りだ。
スザクは良く分かっていたのだ。自分が日本に戻れば、キョウトが今度こそブリタニアによって潰されるという事を。」

 ゼロの言葉に、誰もが目を見開き息を呑んだ。
 キョウト六家は日本経済を動かしてきた6つの財閥だ。それを解体されるという事は、ナンバーズによる自治もブリタニアの息のかかった人間が行う事になる。
 日本が真の意味で死ぬことになる。
「───スザクは日本を人質に取られ、ブリタニアに隷属するしかなかった。
だが、魂を売り渡したわけではない事は、2度にわたる行政特区日本の提唱と、この資金提供が物語っている。」
「……日本を守るため、ブリタニアに居続けることを選んだというのか……?」
 朝比奈が眼鏡の奥の瞳を細くして呟いた。
「だが、何故だ。何故、ブリタニアはそこまでしてスザクを手に入れたんだ?」
 扇の問いかけに、ゼロ、ルルーシュの目が細められる。
「その答えは、神根島にあった。
あの爆撃の後、私やカレンらが漂着したあの島だ。」
「あの、無人島か……?」
 誰もが目を瞬かせ、次の言葉を待った。
「あれは、枢木家所有の島だった。
ブリタニアは…いや、ブリタニア皇帝はあの島が目的だったのだ。
正確には、あの島にある遺跡を手に入れるために日本に宣戦布告したのだ!」
「はあっ!?」
 固唾を呑んでゼロの言葉を待っていた全員が目を見開いて絶句するのを、神楽耶は呆然として見るのだった。
 そして小さく嘆息を漏らす。

 皆さんの反応は正解ですわ───

 皇帝の企みを、彼らが理解できるであろうか。
  そして、何よりも。
  彼は、その素性を明かすのだろうか。
  ゼロ、ルルーシュが次に何を語るのか。
  神楽耶は、静かに傍らの男を見守るのだった。


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