Home sweet home ~その2~

ホワイトデー小話、後編です。
デートの後はディナーでしたね。







「よし。完璧だ。」
 ディナーのテーブルセッティングを終わらせたルルーシュが悦に入っていると、ちょうどスザクとC.C.が帰って来た。
「ああ。疲れた。」
 そういってスザクが運び入れた荷物は、ざっと10はあるだろう。
「ずいぶん買ったな。全部C.C.の服か?」
「あとは靴とかバッグとか……帽子も買ってたかな。」
「入る店入る店、いろいろと勧められるからな。その上、こいつが馬鹿の一つ覚えでよく似合うばかりいうから……」
 つい買いすぎたんだと言い訳する。
「だって、本当にどれも似合ってたよ。お店の人に、美しい奥様にはぴったりですって、どこでも言われた。」
「お…おくさまぁ?」
 ルルーシュが顔をしかめる。と、C.C.が面白そうにスザクの後を続けていう。
「私も同じようなことを言われたぞ。素敵なご主人ですね。だと。」
「ご…ご主人……」
 ルルーシュの顔が引きつる。
 そんな彼に構わず、スザクはディナーの準備が整ったテーブルに歓喜の声を上げた。
「うわあ。凄いおいしそうだね。さすがルルーシュだ。」
「うむ。セッティングも美しいな。」
 褒めちぎる2人に、頭をもたげて来ていた怒りも引っ込み、食事の準備に戻る。
「とっとと荷物を置いてこい。最上のワインを開けてやる。」

「それで、ラブロマンスがいいって言うからそれにしたのに、途中で寝ちゃうんだよ。C.C.」
「思ったより話が単調で、飽きたんだ。」
「ラストは感動的だったのに。周りの女の子みんな泣いてたよ。」
「それで、隣の見ず知らずの女にハンカチ貸したりするから、後で私がそいつに睨まれたりするんだ。」
「悪かったよ。」
 光景が目に浮かびそうな2人の会話に、ルルーシュも思わず笑う。
「こいつと2人で出かけると、いろいろとハプニングが有って楽しいがな。」
「お店入ると、色々サービスしてくれるしね。喫茶店では、頼んでもいないのにケーキ出してもらっちゃったし。」
「なかなかお得感があって良かったぞ。」
「2人で、ずいぶん目立って来たんじゃないのか?」
楽しそうな2人に対してじろりと睨むルルーシュに、 スザクは肩をすくめ、C.C.は我関せずを通した。
「誰も、悪逆皇帝の皇妃と騎士だとは気づいてなかったぞ。」
 しれっとして答えるC.C.に、ルルーシュの顔がまた引きつる。
「……そいつはよかった……」
 険悪な雰囲気を察し、スザクが声をかける。
「ルルーシュ。そろそろデザートにしない?」
「デザートはスザク……」
 C.C.の言葉に、ルルーシュが音を立てて席から立ち上がり、スザクの肩が跳ねる。
「……と言いたいところだが。ルルーシュの手作りデザートにしよう。今日1日、独り占めだったからな。」
「当然だ、こいつは食い物じゃないぞ。」
「毎晩おいしく頂いている奴が何を言う。」
「毎晩じゃない。せいぜい3日おきだ。」
「体力がないからな。」
 ぷつんと、誰かの血管が切れたような音がした。
「ああ……」
 折角のごちそうの上で繰り広げられるつば迫り合いに、スザクが頭を抱えていた。


「スザク。今日は一日悪かったな。魔女につき合わせて。」
「ううん。C.C.にはいろいろとお世話になったし……」
「色々……と……」
 その言葉に引っかかるものを感じて、ルルーシュがスザクの耳朶を甘噛みする。
 その感触に、スザクはくすくす笑った。
「C.C.が側にいてくれたから、ゼロを続けていられたんだ。
 傷をなめ合うような関係だけど、彼女の存在が僕には救いだった。
 でなければ、僕はとっくに壊れていたかもしれない……」
「スザク……」
 翡翠を潤ませて見つめるスザクの唇に、キスを落とす。
「彼女は、僕にとっても恩人だ。だから、出来るだけC.C.のいい様にしてあげたいと思ってる。」
「あまり甘やかすと調子に乗るぞ、あいつは。」
「いいよ。甘えられる…甘えさせてあげれる人が身近にいる事が、こんなに幸せな事だったんだと思う。今が、人生の中で一番充実しているのかもしれない。」
 今度は、スザクの方から唇を重ねる。
「ルルーシュ。生きていてくれてありがとう。」
「スザクも…俺を待っていてくれてありがとう。」


 窓から射し込む月の光に、貰った石をかざす。
 C.C.の瞳の色と同じその石は、淡い光で煌めいた。
「ふん。さすがルルーシュ……いいセンスだ。」
 そう言って、プレゼントのネックレスを首に掛ける。
 男2人に女ひとり……しかも2人ともいい男だ……逆ハーレムだなと、満足そうに笑う。
 こんな風に満ち足りた日々を過ごすのは何十年ぶりだろう。
「これが“家”というものかな───」
 帰りを待っていてくれる人がいる。一緒に出かけてくれる人がいる……その人達と過ごせる家がある。
 それを幸せと言わずになんと言う?
「魔女が人間のフリして楽しんでも、罪にはなるまい。」
 C.C.は愛しげに胸に煌めく石を撫でた。





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